菊正宗酒造の創業は万治2年(1659年)、徳川4代将軍家綱の時代。嘉納家が本宅敷地内に酒蔵を建て、酒造業を本格的に開始しました。当時、灘地域は決して大きな銘醸地ではありませんでしたが、18世紀末に急速に発展しました。
明治期に入ると、8代目嘉納治郎右衞門が「どうしても良い酒を造る」という信念のもと、巨費を投じて酒質の向上改善に取り組み、業界に先駆けた技術改善などで、さらに品質を高め、今日の基礎を築きました。
また明治から大正にかけては、海外輸出の拡大、宮内省御用達拝命など後年の発展の基盤を準備した時代だったと言えるでしょう。昭和の混乱期にも、困難のなかで品質の保持につとめ、酒販店や飲食店も認める品質と人気のお酒となっていきます。
そんなプロも認める品質を支えるのは、辛口の酒を造り続けることに誇りを持つ杜氏達。江戸時代より受け継がれる「生酛造り」で醸す菊正宗の日本酒は、飲み飽きしない辛口です。この「辛口ひとすじ」の姿勢を菊正宗は今後も大切にしたいと考えています。
菊正宗の酒造りの原点、「生酛造り」。
それは、蒸米・麹・宮水を丹念にすりあわせる工程(酛摺り)を経て、自然の乳酸菌の力を借りながらじっくりと時間をかけて力強く優良な酵母を育む、古来伝承の製法です。手間も時間もかかるため、現在採用しているのは全国でも菊正宗を含め数蔵しかありません。
『手間と時間をかければかけるほど良い酒になる』、本物をもとめる妥協しない姿勢が菊正宗の“ものづくり”です。
菊正宗の化粧品の歴史は浅く、2010年に入浴料「美人酒風呂」を発売したのが最初です。
小袋の入浴料としては数少ない液体タイプで、通常、原材料の主成分には“水”が使われることが多い中、菊正宗の「美人酒風呂」は日本酒を90%も使用しています。これは、酒造りと同じ「本物を求めるために妥協しない」という考えからです。『肌のために日本酒風呂に入りたい。』『酒風呂に入りたいけど入り方が分からない』といったお客様の声に応えるため、本物のお酒を使うことにこだわりました。
このような思いは、商品が増えた今も変わりません。常に、お使いいただくお客様のための商品開発を行っています。
菊正宗の化粧品は化粧品製造メーカーに製造委託しています。理由は「自分たちが理想とする化粧品を実現したい」から。
化粧品は原料や製造機器などによって、同じものを作ってもその使用感などが異なります。「お客様に届けたい化粧品」を形にするために、試作と試験を何度もくり返し行い、自分たちの理想を実現できる製造委託先を選定しています。さらに皮膚刺激性試験なども第三者による評価が必須と考え、外部委託で行っています。
すべてはお客様に必要とされ、安心してご使用いただける商品を生み出すために。